第210章

水野佑奈はそこで言葉を切り替え、視線もすっと鋭くなった。

「でも、私が勝ったら――さっきのお守り、手をつけずにそのまま返して」

場内が一瞬で凍りつく。誰もが呆けた顔をした。彼女の背後に立つ小林圭吾でさえ例外じゃない。水野佑奈がレーシングカーに乗れるなんて、聞いたこともなかった。

けれど、彼女の顔に浮かぶ確信を見た瞬間、圭吾は悟る。これは意地でも、癇癪でもない。水野佑奈は本気で――挑戦状を叩きつけている。

圭吾の表情も硬くなる。瞬きもせず、目の前の御曹司たちを見据え、答えを待った。

連中はこの場所に入り浸っている。中にはここで育った者までいるほどで、国内の慈善界隈の話題など普段は気に...

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